産業用のUVLEDを活用するメリットやUVランプとの違いを解説

近年、産業用の光硬化技術の分野でUVランプからUVLEDへの置き換えが進んでいます。UVLEDはUVランプと発光特性や環境負荷に違いがあり、生産性向上やコスト削減、環境への負荷軽減などのメリットがあります。

そこで本記事では、産業用でUVLEDを活用するメリットや、UVランプとUVLEDの違いを解説します。産業用のUVランプを活用しているが、UVLEDの活用も視野に入れている方はぜひご覧ください。

目次構成

UVLEDとは

UVLEDはUV硬化用光源の一種です。一般的な照明用LED光源で使われる青色波長の光よりも波長が短いUV(365~405nm)を発光します。

環境意識の高まりや技術革新を背景に、長寿命で消費電力の低いLED照明が普及していますが、産業用として活用するUV硬化技術でもLEDの利用が広がっています。

UV硬化技術は、高いエネルギーを持つUV(紫外線)を用いて、照射対象のUV硬化樹脂を液体から固体に(モノマーからポリマーに)化学変化させる「光重合」と呼ばれるプロセスを指します。このプロセスは、光学・機能性フィルムや電子部品製造に用いられるフィルムの加工など、エレクトロニクス分野から医療分野に至るまで広範な用途で利用されています。

次章ではUVLEDと、従来よく活用されてきたUVランプの違いについて解説します。

UVLEDとUVランプの違い

UVLEDの特徴をより詳細に把握するため、以下では一般的な有電極UVランプ※との違いを発光原理、付帯設備、環境負荷の3点から解説します。

※有電極UVランプはUVを放射するランプのうち、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを指し、下記のような違いがあります(画像「UV硬化用ランプの種類やその違い」を参照)。

UV硬化用ランプの種類やその違い
UV硬化用ランプの種類やその違い

① 発光原理

1つ目に、有電極UVランプとUVLEDでは、発光原理が異なります。

  • 有電極UVランプ:金属蒸気が励起状態から基底状態に戻るときの発光と、発光管内で水銀イオンと電子が再結合することによる発光を利用します。
  • UVLED:半導体デバイス構造を通して、電気エネルギーを直接光エネルギーに変換します。

② 付帯設備

2つ目に、付帯設備が異なり、UVLEDの方が小さく設定できる特徴があります。

  • 有電極UVランプ:光源冷却用ブロアーや排気設備が必要であり、付帯設備が大型になる傾向があります。
  • UVLED:冷却ファンを光源内に内蔵するなどして、付帯設備を小さく設計することが可能です。

③ 環境負荷

3つ目は、環境負荷の違いがあり、UVLEDの方が、環境負荷が少ないと言われています。

  • 有電極UVランプ:ランプバルブの種類によっては、人体に有害なオゾンが微量発生するため、屋外に排気する必要があります。ランプバルブに水銀が含まれています。
  • UVLED:短波長域の発光がないため、オゾン発生の危険がありません。また、消費電力や環境負荷が少ない点が特徴です。また、水銀を含みません

有電極ランプとUVLEDの違いについて、より詳しく知りたい方は下記資料をご覧ください。

UVLEDの導入メリット

UVLEDと有電極ランプの違いを紹介しましたが、具体的にUVLEDを活用するメリットはどのようなところにあるのでしょうか?3つの観点からご紹介いたします。

UV硬化プロセスの生産効率向上

まず、UVLEDはウォームアップが不要かつ瞬時のON/OFFが可能であり、シャッターが不要で必要なときのみ点灯できるので、作業効率を大幅に向上することが可能です。調光も自在にできるため、硬化材料に合わせて照射条件を柔軟に変えられます。また、UVLEDは寿命が長いため、ランプ交換を頻繁に行う必要もなく、そのために必要になるメンテナンスの頻度が低く、負担が軽減されます。

モジュール型の設計であれば、照射幅や出力波長に対するフレキシブルさがあり、光源距離の変更も可能です。

一方で、有電極UVランプはウォームアップが必要かつ寿命が短いため、作業が頻繁に止まってしまうことがあり、効率が低下しやすい特性があります。また、細かい調光が難しいことも課題です。

こうしたことから、UVLEDはUV硬化プロセスの生産効率向上に寄与するというメリットがあります

運用コスト・ダウンタイムの削減

2つ目のメリットとしてUVLEDは、運用コストやダウンタイムの観点からトータルコストの削減が可能です。また、有効作動寿命が長く、切り替える頻度が低いため、消耗品の購入やメンテナンスのコストを削減できます。起動/再起動におけるウォーミングアップ時間やランプ立ち上げ中のシャッターも不要であり、有電極UVランプと比較して消費電力が圧倒的に少ないため、電気代削減につながることもメリットです

加えて、ON/OFFのシャッター・赤外線カットフィルター・反射鏡など、頻繁にメンテナンスする必要のある設備が不要であるため、ダウンタイム削減と省スペース化に貢献します。

環境へのリスク低減

従来の有電極UVランプは水銀やハロゲン化物を使用するため、廃棄処理が発生する点が課題でした。廃棄方法も厳格に定められており、対応に多くの工数をとられてしまいます。また、有電極UVランプから放射される短い波長(約185nm)のUVを大気に照射すると、微量のオゾンが発生する問題もあります。

一方で、UVLEDは水銀を使用せず、オゾン発生の危険もないため、環境負荷が小さい光源といえます。さらに、消費電力が小さいため、世界的な目標となっているCO2排出量削減にも貢献します。

このように有電極ランプと比べるとUVLEDは大きなメリットがあります。次章では、生産プロセスの向上や生産効率に寄与するエクセリタスノーブルライトのUVLEDをご紹介します。

エクセリタスノーブルライトのUV硬化用UV-LED

工業用特殊光源メーカーであるエクセリタスノーブルライト(旧ヘレウスノーブルライト)では、UV硬化プロセスの速度向上や生産効率化などを実現するUVLEDを提供しています

独自設計の光学系が取り付けられており、実用光源距離における業界トップクラスの照度とエネルギーを実現。お客様の既存の生産ラインの幅に合わせて、光源を連結して設置でき、省スペース化にも貢献します。また、装置のメンテナンスや修理などのテクニカルサポート体制は日本国内で確立されおり、かつグローバル企業であるため、海外展開における装置の導入にも同じ製品を使用できるなど、多くの強みがあります

以下の資料では、より詳しいUVLEDと有電極ランプの違い、導入にあたって注意点や流れを網羅的にまとめております。UVLEDにご関心のある方はぜひご覧ください。

ホワイトペーパー「【基礎知識】UV硬化におけるUVLEDの導入ガイドブック」

ホワイトペーパー 【基礎知識】UV硬化におけるUVLEDの導入ガイドブック

「工業用UVランプの特徴や仕組みなど概要を知りたい」「UV LEDと高圧水銀ランプの違いついて知りたい」とお考えの方向けのお役立ち資料