電子レンジの加熱原理でよく知られているのが電磁波加熱です。この電磁波加熱の代表的なものとしては、マイクロ波加熱と高周波誘電加熱があります。
木材や樹脂など電気を通しにくい物質(誘電体)は、電圧がかかっている空間(電界)の中では電気的平衡を保てません。その結果、分極という現象が起こります。これは正・負の電荷が現れる現象で、互いの電荷は引かれ合う性質を持ちます。これにより誘電体分子の電荷は整列しますが、ここに高周波電圧を加えると電荷が反転を繰り返し振動します。整列した分子が振動することで周囲と摩擦が起こり、熱が発生します。これが電磁波加熱の原理です。
マイクロ波加熱は、分子振動のための高周波電圧を加えるためにマイクロ波を用います。一方、高周波電界により分子の振動を発生させるのが高周波誘電加熱です。
電磁波加熱は対象の内部を加熱するため、表面だけが過熱することを防ぎ、均一な加熱が可能です。また、空気のような媒介からの熱伝達ではないため、袋の中のものや真空中のものも加熱できます。
電磁波加熱は誘電体の加熱を得意とすることから、木材やゴムの加熱に用いられています。高級建築材として使われる欅(けやき)や杉など銘木の乾燥、ゴム製品において強度を上げる加硫工程などで活躍しています。